ボートで使う金属部品 チタン編 [艤装屋.com]
今回はチタン材について
耐食環境にめっぽう強い「チタン」
純チタン系と純チタンに混ぜ物をしたチタン合金系の2系統に分けられる。
特徴としては・・・
・多くの環境でステンレス鋼を凌ぐ優れた耐食性を示す。
チタンは酸素に触れると酸化し、表面に極薄い酸化物の
皮膜(不動態皮膜)を形成する。
これは先に述べたステンレス鋼材と同様だが、
チタンの不動態皮膜は他の金属に比べ特に強固。
これにより優れた耐食性を有し、酸素/酸/海水などの
腐食性環境にめっぽう強い。
・加工性が悪い=高価になってしまう
・合金化する事で機械的特性は向上する。
代表的なチタン合金で「64チタン」(ろくよんちたん)と
呼ばれるα-β型チタン合金があるが、
これは6%のアルミと4%のバナジウムを
含有することに由来する名称のついたもの。
純チタンについて
比重4.51[g/cm3]で比較的軽く、FeとAlの中間。
1種~4種までの4種類で数字が大きいほど強度が高い。
1種
最も純度の高いチタン材料。
不純物が少ないため、最も柔らかい。
引張強さ270~410[MPa] 耐力165[MPa]以上 伸び27%以上
2種
標準的なチタン材料。
硬さや強度のバランスが良く、汎用チタンとして広く使われている。
一般的に入手できるネジやナットは2種の物が多い。
引張強さ340~510[MPa] 耐力215[MPa]以上 伸び23%以上
3種
引張強さ480~620[MPa] 耐力345[MPa]以上 伸び18%以上
4種
引張強さ550~750[MPa] 耐力485[MPa]以上 伸び15%以上
※数字は代表値。
3種4種については一般的な材料では無いようで、あまり目にすることは無い。
この2つは詳しくは知らないので機械的数値の掲載に留める。
ボート艤装では・・・
耐食性を向上させる目的であれば、現状使用している材料が
SUS304やSUS316ないし316Lの場合は引張強度の近い数字の物を
選ぶ方が良いので、2種以上の使用が望ましいと思う。
さほど荷重の掛からない箇所であれば、既存の材料が錆びて
交換する事になった場合は純チタン化も一考の余地はある。
但し、摩耗に弱いので使用に際しては注意が必要となる。
実際に自分のボートでチタン2種のネジ、ナット、ワッシャーを使っているのは
ロッドホルダーの固定部とバウデッキ上のアイストラップの固定部、
スパンカーのドローコード引きまわし部品の固定部。
現在フィールドテスト中。
316(316L)でも充分な耐食性はあるので、何もチタン化しなくても・・・
チタン合金について
チタン合金に関しては、コストが一気に跳ね上がる為、
私が使う範囲での艤装品の固定に合金はもったいないのと、
且つ詳しく知らないので、ここでの紹介は簡単に。
チタン合金には耐食合金、α型、α-β型、β型の4種があり、
何れもなにがしかの混ぜ物をする事で機械特性を向上させている。
(「合金」なので当たり前のことだが・・・)
耐食合金
純チタンに極微量の白金族元素などを添加し、
純チタン以上の耐食性を持たせたもの。
α型
AlとSnを添加し、耐熱性と低温特性を向上させたもの。
α-β型
AlとVを添加し、高い強度と高い延性を持たせたもの。
合金の代表格と言って良いと思う。
β型
Al、V、Sn、Crを添加し、超高強度を得られるようにしたもの。
ちなみに引張強度は830~1400[MPa]程度と鋼材やプリハードン鋼※並み。
※プリハードン鋼:焼き入れ処理を行った鋼材で金型などに用いられる物。
チタンは専門外なのでこの程度の記述で・・・。
次回はアルミの話を少し・・・
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